【LOVES】アガサ・クリスティー「青列車の秘密」

先日、立ち寄った書店で、ハヤカワのアガサ・クリスティ文庫に、「○○座の人におすすめ」などという星座毎に作品を勧める帯が付いていました。
星座と作品の関連がよくわからないのですが、ちょっとそそられるものがありました。
実際に見てみると、私の星座(射手座)におすすめな作品は、どれも好きだったんですが、他の星座の人に勧められている作品にも好きなのはあったので、どうなんだろうなあと思います。

帰宅して、ふと「アガサ・クリスティの作品の中で、どれが一番好きなんだろう?」と考えてみたのですが、これもあれもと考えていると、まったくキリがありませんね。
でも、今もっとも観たいのは、「青列車の秘密」でしょうか。

青列車の秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
青列車の秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

「青列車」というのは、いわゆるブルートレインのこと。
贅沢なブルートレインの中で、富豪の令嬢が無惨にも殺され、有名なルビー「ハート・オブ・ファイア」が盗まれ、名探偵エルキュール・ポアロが、謎を解明するという作品です。
私は、デビッド・スーシェ主演のTVドラマ「名探偵ポアロ」シリーズが好きで、次々とアガサ・クリスティ作品が映像化されるのを、楽しみにしています。
このシリーズ、1930年代の贅沢なファッションや美しい邸宅、個性的なキャストも魅力的で、大好きなんです。
「映像化されたものを観たいなあ」と思っていたら、DVD-BOX2に入っていたので、購入してみました。

名探偵ポワロ ニュー・シーズン DVD-BOX 2
名探偵ポワロ ニュー・シーズン DVD-BOX 2

この「青列車の秘密」では、キャサリン・グレイというイギリス人女性が、私はとても好きなんです。
イギリスの田舎で老婦人の世話をしていたのですが、その老婦人の死後、遺産を譲られ、ちょっとしたお金持ちになったキャサリン。
ドレスを新調し、長らく音信不通だったいとこの招待を受けて、南仏ニースへ向かうために、ブルートレインに乗り合わせ、殺人事件に巻き込まれます。
原作とTVドラマでは、少し違った風に描かれていましたが、原作同様、TVドラマでも魅力的な女優さんが演じておられて、とても素敵でした。

TVドラマでは描かれていませんでしたが、キャサリンが服を買いに、ドレスメーカーのもとを訪れるシーンが、私はとても好きです。

キャサリンはまず、有名な服装店に行った。夢見る公爵夫人という感じの、ほっそりした初老のフランス婦人が彼女を迎えた。
キャサリンはナイーヴな態度で打ち明けた。
「わたし、おさしつかえなければ何もかもあなたにお任せしてあなたがいいとお思いになるとおりに計らっていただきたいと思いますの。これまではしょっちゅう貧乏でしたから、服については何も知らなくて。でも今度いくらか財産が入りましたので、本当の意味でいい身なりと考えてこちらにまいりました」
フランス婦人は彼女の率直な態度に魅せられたらしかった。
(中略)
「ええ、喜んで選ばせていただきますわ。マドモアゼルはとても美しいスタイルでいらっしゃいますから、あっさりした線のものがお似合いだと存じます。それにたいへんイギリス的でいらっしゃる。お客さまによっては、こう申し上げると気を悪くなさいますけれど、マドモアゼルはお怒りにはなりませんでしょう。イギリス風の美しいスタイルほどすてきなものはございませんもの」(新潮文庫版より)

その代わりなのか、TVドラマでは、高級レストランで、ワインを選ぶときにまごついたキャサリンを、居合わせたポアロが助けて、彼女の保護者役を買って出ます。

こんなシーンを読んだり、観たりすると、クリスティーの人間性についての洞察力というか、観察眼に改めて驚かされます。
そういう作家だからこそ、多彩なキャラクターを、魅力的に描き分けられるのだろうなあと思います。

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